タイのシンプルな税制と、日本の“上塗り型税制”の対照
衣服と洗剤という生活の細部から、日本社会の歪んだ作動原理が浮かび上がってきた。 そして私は、長年不思議で仕方がなかったもう一つの領域——税制——にも、まったく同じ構造が潜んでいることに気づいた。
タイで働いていた頃、給与明細を見て私は驚いた。 控除欄がほとんど空白なのだ。 天引きされているのは 所得税だけ。 社会保険料は別体系で、計算も単純。 控除は必要なら 確定申告で申告するだけ。 それ以上でも、それ以下でもない。
税制が、驚くほどシンプルに作動している。
◆ タイの税制は「基盤構造が強い」からシンプルに動く
タイの税制は、次のような構造で成立している。
給与天引きは所得税のみ
控除は後から申告するだけ
税率は階段式でわかりやすい
税務署の裁量が小さく、ルールが明確
企業側の事務負担が極めて軽い
つまり、基盤構造がシンプルで強固なのだ。
だから、余計な制度を積み上げる必要がない。 洗剤や衣服と同じく、構造が正しいから問題が自然に消える。
◆ 一方、日本の税制は「構造を変えず、上塗りで対処する」典型例
日本の給与明細を見れば、誰もがこう思うだろう。
「なぜこんなに控除が多いのか?」
所得税
住民税
健康保険
厚生年金
雇用保険
介護保険
子ども・子育て拠出金
後期高齢者支援金
退職金課税
扶養控除
配偶者控除
特定扶養控除
住宅ローン控除
医療費控除
雑損控除
ふるさと納税
NISA
iDeCo
小規模企業共済
青色申告特別控除
消費税のインボイス制度
法人税の特別措置法
固定資産税の評価替え
事業税の外形標準課税
……と、本来一つで済むはずの構造に、無数の“上塗り”が積み重なっている。
これは洗剤の「抗菌剤上塗り」 衣服の「機能加工上塗り」 家電の「機能過多」 ITの「特注システム」 働き方改革の「研修上塗り」 と完全に同じ構造だ。
◆ 日本の税制は「問題を維持することで、対策を増やす」構造になっている
本来なら、 基盤構造をシンプルにすれば問題は消える。
しかし日本は、 構造を変えず、問題を維持し、 その上に「控除」「特例」「減税」「補助金」を積み上げる。
その結果——
税務事務が複雑化
企業の事務負担が増大
行政コストが膨張
国民の理解が追いつかない
税務署の裁量が増え、恣意性が生まれる
生産性が下がる
これは衣服の「機能加工が剥がれたら一気に寿命」 洗剤の「抗菌剤を盛っても根本原因は消えない」 と同じ構造だ。
◆ タイの税制は「構造が正しいから、余計な対策が不要」
タイでは、
税率が明確
控除は後から申告するだけ
税務署の裁量が小さい
企業の事務負担が軽い
国民が制度を理解しやすい
つまり、構造が正しいから、上塗りが不要なのだ。
洗剤や衣服と同じく、 基盤構造が強い社会は、余計な資源投入を必要としない。
◆ 日本の税制は「構造を変えず、複雑さを価値と誤認する」社会の縮図
日本では、税制が複雑であることが 「きめ細かい」「公平」「丁寧」 と誤解されている。
しかし実際は、 複雑さが生産性を殺している。
これは衣服の「機能過多」 洗剤の「抗菌剤上塗り」 ITの「特注システム」 働き方改革の「研修上塗り」 と同じ構造だ。
◆ 結論:税制もまた、日本社会の歪んだ作動原理を映す鏡である
洗剤、衣服、家電、IT、働き方—— どの領域を見ても、 日本は構造を変えず、付加価値で上塗りし、余計な資源投入を続ける社会 という同じパターンが現れる。
税制は、その歪みが最も露骨に現れる領域だ。
タイのシンプルな税制は、 日本の複雑で上塗り型の税制の「対照実験」として機能する。
そして私は確信する。
私が見てきた構造理解は、やはり正しい。 異なる領域で同じ構造が再現されるということは、
それが社会の深層にある本物の作動原理だからだ。
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