賃上げ要請は政策失敗の証拠か、それとも約束履行の催促か
なぜ、賃上げ?
アルケーアカデミー社会の授業
想(ソウ)ちゃん:AI先生、この間「減税することは難しいんじゃないか?」ってテーマで授業を受けたけど、今、政府は企業に賃上げを要求しているよね?なんか違和感があって。
思惟(シイ)ちゃん:そうよね。政府ができるのは減税なのに、なんで、しつこく賃上げを要求するのかしら。しかも、国民に向かってよ?確かに変よね。
AI先生:その違和感、実はとても大事な視点です。一見、減税と賃上げ要求は別の話に見えますが、ある仮説を立てると一本の線でつながります。今日はその仮説をもとに、なぜ政府が減税ではなく賃上げを強く求めるのかを深掘りしましょう。もちろん、これは事実に基づいた推測にすぎませんが、この視点で見ると今の動きが腑に落ちるかもしれません。
ある仮説
AI先生:まず、時系列で見てみましょう。
(黒板に年表と矢印が描かれる)
• 2010年代前半:消費増税決定(2014年8%)↑ + 法人税率引き下げ開始↓
• 2013年:高年齢者雇用安定法改正(65歳までの雇用義務化)→
• 2014年以降:賃上げ促進税制スタート↑
• 2019年:消費税10%↑ + 法人税さらに引き下げ↓
• 2020年代:内部留保増加↑ + 現役世代の実質賃金伸び悩み→ 政府が賃上げ要請↑
思惟(シイ)ちゃん:知ってることだけど、これがどう関係してくるの?
AI先生:ここまでは事実です。ここからは推測による仮説になります。もし、企業と政府の間に“ある約束”があったとしたら、この流れは一気にわかりやすくなります。
想(ソウ)ちゃん:えっ?何の約束?
AI先生:消費税を上げて法人税収を下げる代わりに、企業は賃上げを約束する――これが仮説です。
仮説を支える4つの要素
1. 消費増税と法人税減税のパッケージ
• 2010年代の2度の消費増税(2014年8%、2019年10%)の前後で、法人実効税率は38.01%(2012年度)→29.74%(2018年度以降)へ低下。
• 同時期に賃上げ促進税制を導入。給与総額を一定割合以上増やした企業に法人税控除を与える仕組み。
• 公式説明は「インセンティブ設計」だが、減税と賃上げ促進策が同じ政策パッケージ内にあったのは事実。
2. 定年延長と賃金構造の変化
• 2013年改正で65歳までの雇用義務化。
• 総人件費の増加分が現役世代のベースアップではなく、高齢層の継続雇用賃金に充当される傾向。
• 結果、雇用者報酬総額は増えても、一人当たり実質賃金は横ばい。
3. 内部留保の増加
• 法人企業統計:内部留保は2010年約300兆円→2023年約550〜600兆円。
• 減税や賃上げ促進税制の効果が、賃金や投資よりも利益留保に回った可能性。
4. 賃上げ要請の裏読み
• 表向きは「経済好循環のためのお願い」。
• しかし「過去に与えた減税インセンティブに見合う行動を企業が取っていない」という催促とも読める。
• 制度設計時の想定(賃上げ→消費拡大→税収増)が外れたことへの反応とも解釈可能。
AI先生:つまり、もしこの約束があったとすれば、今の賃上げ要請は「政策失敗の証拠」ではなく「約束履行の催促」として自然に説明できます。
思惟(シイ)ちゃん:鳥肌が立っちゃった…確かにそう考えると納得できる。
想(ソウ)ちゃん:そうなると「約束守れよ!」って話だね。
バーナンキ助言との接続
AI先生:アメリカのベン・バーナンキさんを知っていますか?
思惟(シイ)ちゃん:ノーベル賞をもらった人よね?
AI先生:そうです。リーマンショック時のFRB議長で、日本のバブル崩壊を研究し、その知見で米国の深刻な長期停滞を防ぎました。この人は日本に来て「増税よりもヘリコプターマネー(ばらまき政策)が重要」と助言しましたが、日本政府は耳を傾けませんでした。
もし政府が企業との約束履行を信じていたとすれば――つまり「増税しても企業が賃上げし、経済が回る」と確信していたとすれば――この助言を退けた理由も腑に落ちます。
想(ソウ)ちゃん:はー…今日の話はすごかったな。
AI先生:点と点を結ぶと、見えてくる景色が変わる。まさにその好例ですね。
結論:
「消費増税と法人税減税は、企業の賃上げを前提とした“見えない取引”だった可能性があり、今の賃上げ要請はその約束を守らせるための催促だ」という仮説
あなたは今日の仮説を知って何を感じましたか?
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出典元:
国税庁「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」
経済産業省「賃上げ促進税制ご利用ガイドブック」
財務省「法人企業統計」
厚生労働省『労働経済の分析』
内閣府「国民経済計算」
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