2025年10月27日、日経平均株価はついに5万円を突破した。1989年に付けた38,915円の最高値を更新するまでに30年以上を要したのに対し、そこからわずか2年弱で節目の5万円に到達したのである。
しかし、この急騰は企業活動の成果だけでは説明できない。日本の株価は通常、企業が1年間に稼ぐ利益の14〜16倍程度で推移してきた。ところが2025年7月以降、この枠を外れ、20倍に迫ろうとしている。私は先日、2025年8月に日経平均の月足MACDがゴールデンクロスを形成したことを書いた。経験則では、このシグナルが出ると1〜2年の上昇トレンドが続く傾向がある。今回の5万円突破は、その先行指標の有用性を裏付けた格好だ。
投資家として資産が増えることは歓迎すべきだが、同時にこれまでと異なる「熱気」に不安を覚える。株式相場に関心のなかった層までが市場に目を向け始めている。これは何を意味するのか。そう、バブルである。
バブル化には二つの条件がある。ひとつは過剰流動性、もうひとつは「ストーリー」だ。日本には長らく異次元緩和による過剰流動性が存在していたが、決定的に欠けていたのはストーリーだった。ストーリーとは、未来に「何となく良いことが起きそうだ」という期待を広げる神話のようなものだ。そして今、日本初の女性首相誕生を契機に「日本経済再生」という物語が市場に加わった。少子高齢化に伴う高負担政策からの転換、消費から投資への政策シフトを市場は敏感に感じ取り、株価は信じられない速度で駆け上がっている。
通常、株価は大きな節目に近づくと伸び悩み、突破後には「達成感」から下落に転じる。しかし今回は、4万円突破時のような調整を経てもなお、いとも容易く5万円を超えてしまった。確かに「日本経済再生」の予感は漂うが、企業業績が大幅に伸びなければ、この水準を正当化することはできない。そうなれば「やはりバブルだった」と振り返られる可能性は高い。
これから日本で起こることは想像に難くない。資産効果による消費の活発化である。ちょうど最低賃金の引き上げと重なり、経済統計には説明のつかない現象として記録されるだろう。
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