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第四十四話:静かなる革命ー台湾の異例ともいえる変革ー

 


アルケーアカデミー社会の授業:

朝、日が昇るのが遅くなり、夕昏時はどんどん早くなり、深い秋の訪れを森は喜んでいるかのように熟した季節を迎えつつある。

AI先生:先日、台湾の近代史の前編をお話ししました。権威主義から民主主義への移る直前といった年代でした。今日は、民主主義をどのように李登輝氏が達成したかを見ていきましょう。まず、李登輝の経歴についてです。

李登輝氏の経歴:

幼少期・教育

1923年 日本統治下の台湾・台北州淡水郡三芝庄(現・新北市三芝区)に生まれる。日本名は 岩里政男。台北高等学校を経て、京都帝国大学農学部農業経済学科に進学。1944年、学徒出陣で日本陸軍に入隊し、終戦時は少尉。

学問と留学

終戦後、台湾に戻り 国立台湾大学農学部に編入、1948年卒業。台湾大学助手を経て、農業経済学を専門に研究。アメリカに留学し、アイオワ州立大学で修士号(農業経済学)。コーネル大学で博士号(Ph.D.)を取得。

政治への道

帰国後、台湾大学で教鞭をとりつつ、農業政策に関与。1971年、国民党に入党。農業専門の政務委員(大臣級)に就任。1978年 台北市長に就任。都市インフラ整備や交通政策で実績を残す。1981年 台湾省政府主席。1984年 蒋経国により副総統に指名され就任。

総統時代(1988–2000)

1988年 蒋経国の死去に伴い総統に昇格。台湾出身者(本省人)として初の総統。

AI先生:ここまでが総統を引き継いだ経緯になります。

想(ソウ)ちゃん:日本出身だったんだね。

思惟(シイ)ちゃん:だから、日本語も喋れたんだ。日本語が上手だったと聞いたことがある。先生、本省人って何?

本省人と外省人

本省人

定義:1945年の日本統治終了(台湾光復)以前から台湾に住んでいた人々とその子孫。

背景:主に福建省や広東省から17世紀以降に移住してきた漢族(閩南人・客家人)や、さらに古くから住む先住民族を含む。

言語・文化:台湾語(閩南語)、客家語などを使用。台湾独自の文化を形成。

外省人

定義:1945年以降、特に1949年の国共内戦で国民党が敗れて台湾に移住した中国大陸出身者とその子孫。

背景:軍人、公務員、知識人などが多く、国民党政権の中枢を担った。

言語・文化:北京語(国語)を使用し、大陸の文化習慣を持ち込んだ。

AI先生:本省人(85%)と外省人(15%)でしたが、権力のほとんどは外省人によって握られていました。

思惟ちゃん:じゃあ、当時は外省人が既得権益層?李登輝さんが総統になったとき、反発は起こらなかったのかしら?

AI先生:良い質問です。

既得権益層の反発の実態

1. 外省人エリートの不信感

李登輝は初の本省人総統であり、外省人支配の国民党体制にとっては大きな脅威でした。

蒋経国の死後、外省人の長老や軍部は「李は形式的な後継者にすぎない」と見なし、実権を握ろうとしました。

特に軍や情報機関は外省人が掌握しており、李登輝は当初「孤立無援」とも言える状況でした。

2. 「十三兄弟会」などの派閥抗争

国民党内の外省人長老グループ(通称「十三兄弟会」)は、李登輝を排除しようと画策。

1988〜1990年頃は、李登輝が党内で権力を固められるかどうか、非常に不安定な時期でした。

3. 李登輝の巧妙な権力掌握

李登輝は「傀儡」と見られていた立場を逆手に取り、徐々に党内人事を掌握。

1990年の「野百合学運」(学生運動)を利用して民主化要求を受け入れ、外省人長老を退陣に追い込みました。

その後、党主席も兼任し、国民党を完全に掌握。

想(ソウ)ちゃん:民意をうまく取り込んで、掌握したのか。すごいね。

思惟ちゃん:総統はどのように選ばれていたの?

AI先生:すこし、台湾の政治組織について説明しましょう。

国民大会と立法院

国民大会

主な役割:  総統選出、憲法改正、領土変更、弾劾審議
性格:    憲法上の最高機関(非常設)、2005年廃止
歴史的経緯: 1948年に初めて代表が選出されたが、大陸喪失後は再選挙ができず「万年国会」と呼ばれる固定化状態に。

立法院

主な役割:  法律制定、予算審議、行政監督、人事同意
性格:    常設の立法機関(国会に相当)、現在も存続
歴史的経緯: 戒厳令下ではこちらも「万年議員」が居座ったが、1992年に全面改選され、民意を反映する議会へ。 

思惟ちゃん:立法院が国会のようなもの?国民大会は例えるなら何かしら?

AI先生:国民大会は日本で言うと厳密には相当する機関はありません、強いて言うなら、戦前の貴族院でしょうか。

想(ソウ)ちゃん:実際、選挙は行われていなかったのが、国民大会は廃止、立法院は選挙が再開されたんだね。

AI先生:はい、李登輝氏はまず、立法院の改革を進め、議会を民意を反映させることを第一段階で達成し、第二段階では国民大会の強大な権力であった総統を選ぶ権利を国民大会から国民の直接選挙という形で達成したのです。

思惟ちゃん:その後、台湾はどうなったの?

AI先生:1996年に行われた総統直接選挙が実施され、李登輝氏が当選しました。そして2000年に行われた総統選挙にて民進党の陳水扁氏が当選し、政権交代を果たし、完全な民主化を果たしました。

想(ソウ)ちゃん:すごく鮮やかな政権交代だね。

AI先生:その後も国民党も政権を奪い返すなど、二大政党制体制に移行しました。権威主義からアジアで最も民主化した国として存在感を示しています。

結論:

李登輝が“静かな革命”によって、台湾を権威主義から民主主義へと導いた。

台湾の政治はキラリと光るものがありますね。

関連テーマ:

第四十三話:世襲から民主化!?ー台湾の近代史ー

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参考文献:

  • 土屋光芳「李登輝政権と台湾の民主化過程」『政治経済論叢』第71巻5・6号、明治大学政治経済研究所、2009年
    PDF全文
  • 蕭新煌「李登輝が切り開いた台湾民主化の紆余曲折に満ちた道」アジア経済研究所 IDEスクエア、2020年
    記事リンク
  • 小笠原欣幸「台湾の民主化と李登輝政権」東京外国語大学研究資料
    概要ページ
  • 李エキソウ「李登輝政権の対外政策の転換と日中台関係に関する研究」慶應義塾大学博士論文、2020年
    要約PDF




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