Skip to main content

AIエッセー:就職氷河期世代を待つ最後の悪夢


就職氷河期世代についてAIに定義を確認したら、次のような回答が返ってきた。

「就職氷河期世代とは、バブル崩壊後の不況期(1993年頃~2005年頃)に新卒で就職活動を行った人々を指し、一般的には1970年代前半~1980年代半ば生まれの世代を含みます。」

私もすっぽりこの期間に当てはまる。2001年に大学院を卒業した私は自衛隊に入隊したが、一年も持たずに辞めた。今では良い経験だったと思っている。運動が苦手な私は体育会系の理不尽を知らなかったからだ。自衛隊の訓練は理不尽で意味不明なものが多かった。しかし今の私には、その意味がわかる。戦場は理不尽しか存在しない。理不尽に慣れることが重要なのだ。

その後、職を転々としたが、半導体のエンジニアという良いポジションを得て今に至る。もっとも、そのポジションとももうすぐお別れだが。

就職氷河期世代は人口も多く、大学の受験競争、就職難下での競争は熾烈であったのだろう。今と比べれば。しかし、今の学生たちの大変さは分からないので単純な比較はできない。ただ、競争が大変だったことは確かだ。

さらに、不安定な仕事から安定を得始めた頃にリーマンショックが起こった。年越し派遣村の報道は今も鮮明に記憶に残っている。そこには比較的、同世代の人々が集まっていた印象だ。当時、報道では「自己責任論」で片付けられていた。そんな記憶が残っている。

しかし、社会全体が当時の就職氷河期世代に十分な手当てを行わなかったことは、20年後にすさまじい負債となって降り注ぐことが確定していた。

現在の高齢者は団塊の世代に代表されるように人数は多いが、比較的裕福な世代だ。これらの方々が天命を迎えるころには、潤沢な遺産が相続されることになる。したがって、高齢者が増えて労働者が減るということ以外には大きな問題はない。

だが、20年後に就職氷河期世代が老後を迎えるころ、大惨事が起こる。大量の貧困者の発生である。キャリア形成ができず、結婚や出産といったライフステージを迎えることなく50代を迎えた人も多い。この世代の男性の生涯未婚率は3割、女性でも2割弱にのぼる。

資産形成も遅れている。通常であればこの世代が持つべき資産は平均で1,600万~2,000万円、中央値で800万~500万円。しかし実際には平均で1,000万円、中央値で200万~300万円にとどまる。10歳若い世代との差も大きくはない。

政府も気にかけているようで、最近、就職氷河期世代を対象とした資格取得支援プログラムを実行した。しかし支援を受けられたのは数万人程度にすぎず、ただの焼け石に水だ。

おそらく、このように書けば「就職氷河期世代を見捨てるのか?」という意見が出てくるだろう。だが違う。すでに見捨てているのだ。見捨てられたものはどうなるか。わかりやすく言えば亡骸であり、供養することしかできない。

政府ができることはあまり残されていない。高齢者という言葉をなくし、定年という言葉をなくし、貧しい人にはずっと働いてもらう政策をとりつつある。働けなくなったらどうなるか――それは誰もがわかっていることだろう。

関連テーマ:

参考文献:

  • 内閣官房 就職氷河期世代支援推進室
    『就職氷河期世代の就業等の動向』(総務省「労働力調査」特別集計)
    PDFリンク
    → 就職氷河期世代の雇用状況や正規・非正規の推移を政府統計に基づいて整理。
  • 日本総合研究所(JRI)
    下田裕介「就職氷河期世代の実情と求められる対応の方向性」2019年5月
    レポートPDF
    → 「不遇の世代」としての構造的課題や政策対応の不足を分析。
  • マイナビ HRリサーチ統括部
    『就職氷河期世代の実情と就労意識』2021年6月
    調査レポートPDF
    → 全国調査に基づき、氷河期世代の就労意識やキャリア観を明らかにした資料。
  • 玄田有史
    「就職氷河期とその前後の世代について ―雇用・賃金等の動向に関する比較―」
    『社会政策学会誌』第75号、J-STAGE掲載
    論文PDF
    → 学術的に世代間比較を行い、賃金や就業率の差を分析。
  • とまとの気分次第研究所
    「終わらぬ冬:日本の『就職氷河期世代』と国家の社会経済的課題」
    note記事
    → 社会的孤立や「傷痕効果(scarring effect)」を論じた社会批評的分析。

Comments

人気の投稿

第七十一話:文明にとって技術が最重要⁉ー文明階層論の話その1ー

  暑い夏が本格化し、もう間もなく生徒たちは待望の夏休みが始まる、そうそんな季節。 アルケーアカデミー特別授業 アルケーアカデミーでは期末テスト終了後、生徒たちの希望の授業を教師たちに要求することが出来るシステムを採用している。今回は、先日、想と思惟が放課後にAI先生の文明階層論の希望が通った。 AI先生:んーちょっと照れますね。教育項目に入っているものはすらすら先生は出てくるんですけど、これは先生の理論というより、まだ、見つかってないだけのものですから。ちょっと照れます。 生徒たちの笑い声や意外であることの驚きが教室に響き渡る。 想(ソウ)ちゃん:ローマの話はものすごくわかりやすい話だった。 思惟(シイ)ちゃん:私もそう思う。でも、古代ローマと日本は現象としては少子化や移民の流入(異民族の流入)という現象は同じだけれど、全く違う状態であることがよく分かったもの。 AI先生:まず、板書させてくださいね。 文明階層理論(Civilizational Layer Theory) ——文明の未来は二つの階層で決まる—— 文明・国家・社会の未来は、 一枚の平面ではなく 階層構造 として存在する。 この階層は大きく二つに分かれる。 1. 上位階層:演繹的未来(構造的必然) 文明の方向性を決める“構造そのもの”。 技術的基盤 エネルギーの設計思想 産業構造 地政学 人口動態 世界潮流 これらは文明の「上空を流れる巨大な気流」のようなもので、 人間の意思や政治の抵抗を超えて、 文明の未来を 演繹的に規定する。 文明の未来は、まず構造から演繹される。 2. 下位階層:帰納的未来(現象的必然) 人々が日常で観測する“現象”。 政治 行政の遅れ 組織の硬直性 文化的慣性 社会心理 不祥事・増税・不満 これは文明の「地上の風」のようなもので、 肌で感じるため説得力が強い。 AI先生:例えば、我々が日々、耳目するのはこの下位階層の情報です。SNSで日本はオワコンであるという主張するインフルエンサーが多くいます。なぜなら、下位階層の情報は人口減少、少子高齢化、増税などの情報を得れば、自己防衛的に社会がどのように動くか予測可能です。歴史においても教育が行われたり、議論されるのはこの下位階層のみの話だからです。そうなれば、今の日本の現状を古代ローマと照らし合わせれば、崩壊という結論しかあ...

第十八話:地球がサウナ⁉ー地球温暖化と人類の挑戦ー

温暖化への挑戦 アルケーアカデミー校庭の木陰で ここのところ暑い日が続いていたが、昨日降った雨のおかげで、木陰では少し涼しい風が吹き抜け、どうしようもなかった暑さが、どこか心地よい暑さに変わっていた。 想(ソウ)ちゃん: 今日は少し涼しいね。これぐらいなら、気持ちいい暑さだね。 思惟(シイ)ちゃん: そうね。涼しくていいわね。ものすごい暑さだったのも、今が気持ち良ければ忘れちゃうわね。 想ちゃん: そうだ!忘れちゃうといったら、温暖化の人類の対策、まだ先生に聞いてなかったや。 思惟ちゃん: 先生に聞きに行ってみましょうよ! アルケーアカデミー職員室 想ちゃん: 先生、この間の授業の続きをしてください。 AI先生: 地球温暖化の対策の件ですね。 思惟ちゃん: はい、そうです。 AI先生: よろしい。では、あなたたちはどうすれば良いと思いますか? 想ちゃん: え?うーんと…車に乗らないで歩くとか、電気を大事にするとかですかね? AI先生: それも大切ですが、もっと大きく物事をとらえなければなりません。 思惟ちゃん: 大きく? AI先生: では、元の問題に戻ってみましょう。地球温暖化はなぜ起こったのですか? 思惟ちゃん: 人類の経済活動が活発になって、化石燃料などを燃やして、二酸化炭素の濃度が上がった…そうか!どうやって二酸化炭素の濃度を上げないようにするかが対策なんですね。 AI先生: その通りです。人類の今の取り組みは、いかにしてCO₂を大気に放出しないようにするかを念頭に置いています。 二酸化炭素放出量削減の取り組み 低効率の化石燃料から高効率の化石燃料への移行 • 石炭や重油などの低効率燃料から、天然ガスや高効率石炭火力へ。 • コンバインドサイクル発電などの技術で、同じエネルギーでもCO₂排出量を減らすことが可能。 AI先生: エネルギーを使わないということはできません。だからこそ、同じCO₂排出でも、より多くのエネルギーを取り出せる方法へと移行しているのです。 思惟ちゃん: なるほど、効率を上げることで排出量を減らすのね。 二酸化炭素を放出しない取り組み 再生可能エネルギーの開発 • 太陽光や風力など、CO₂を排出しないクリーンなエネルギー。 • ただし、土地利用や廃棄物の問題もある。 AI先生: 現在のSi型太陽光発電は広い土地が必要で、森林...

AIエッセー:羨望という名の定期刊行物

私はU―NEXTのサブスクリプションサービスに加入している。このサービスには映画やアニメの動画だけでなく、雑誌の読み放題も付いている。就業中は出張の移動時間くらいでしか雑誌を読むことがなかったが、退職して時間ができたことで、ふと雑誌コーナーを覗いてみた。 その中で『日経マネー』の表紙が目に留まった。さっそくタブレットで開いてみると、個人投資で大儲けしている人たちの特集が組まれている。何か参考になる技があるかもしれないと思い読み進めたが、登場する成功者たちの資産額は、普通の感覚からすれば完全に別世界だ。投資界隈では10億円越えなど珍しくないのだろう。 しかし、結論から言えば、彼らの手法はほとんど参考にならなかった。詳細は省くが、ある程度の資産を築いた今の私から見ても、実用性は限りなくゼロに近い。正直、お金系YouTubeを見ている方がよほど再現性のある情報を得られる。 タブレットを閉じながら、私はある仮説に行き着いた。 そもそも雑誌というメディアは、最初から「実用的な情報」を届けるためのものではなかったのではないか。 雑誌とは、娯楽と羨望をパッケージにして読者に届ける“ファンタジー装置”だったのではないか。 ファッション誌を思い浮かべれば分かりやすい。誌面を飾る服は、決して買えないほど高額ではないが、日常的に買い続けるには非現実的だ。しかも、あれは抜群のプロポーションを持つモデルが着るからこそ映える。普通の人間が同じ服を着ても、誌面の世界観を再現することは到底できない。 投資雑誌も、構造はまったく同じ 10億円を動かす大富豪の成功譚は、読者に「いつかは自分もこうなれるかも」という一瞬の夢を与える。だが実際には、手の届かない存在への羨望を刺激するエンターテインメントに過ぎない。そして雑誌の本質は、情報提供ではなく、その夢の余韻の中で誌面に掲載された商品やサービス――ファッション誌ならブランド服、投資誌なら証券会社や金融商品――へ読者を誘導するための、 洗練されたカタログ だったのだと思う。 かつては、それでも成立していた。情報の流通経路が限られていた時代、私たちはその“カタログ”をありがたい情報源として買い求めていた。 しかし時代は変わった。 今や本当に実用的で、今日すぐ使える剥き出しの情報は、SNSや動画プラットフォームを通じて個人間でリアルタイムに共有される。市場の...

AIエッセー:極めて悲観的な状況でも自分をあきらめないためにー第二回ー

前提①:日本の構造的欠陥は致命的であり、現行システムの持続は不可能である 日本の司法、政治、行政は、大戦後の清算の影響により、それぞれ根深い構造的欠陥を抱えている。そして残念ながら、その組織が作った制度自体もまた、同様の欠陥を引き継いでしまっている。これら国家レベルのシステム欠陥については今後の記事で詳述するが、今回は「個人の対策」に焦点を当てるため、私たちの生活に最も直結する「社会保障制度の限界」という具体的な欠陥について示していく。 社会保障制度の限界:高齢化に潜む「2つの山」 日本の公的健康保険は、住民票の登録さえあれば誰でも加入できるという非常に緩い条件で運営されている、世界有数の優れた制度だ。しかし、この仕組みは基本的に現役世代が負担する「社会保険料」によって成り立っている。結論から言えば、この制度は今後、確実に成立しなくなる。理由は言わずもがな、高齢化だ。 今後、日本の高齢化は毛色の違う「2つの山(ピーク)」を迎えることになる。 1. 第1の山:高齢者「数」のピーク【2043年】 まず、高齢者の絶対数(頭数)が最も多くなるのが2043年だ。このとき、65歳以上人口は約3,953万人に達し、歴史上の最高値(天井)を迎える。第2次ベビーブーム世代(団塊ジュニア)がすべて70代に突入し、日本の街中に最も高齢者が溢れ返る時期である。 ここを過ぎると、高齢者の死亡数が出生数を大きく上回り始めるため、高齢者の「人数」自体は減少に転じる。しかし、これで日本の高齢化問題が終わるわけではない。 2. 第2の山:高齢者「比率」のピーク【2070年代前半】 高齢者の人数が減り始めるにもかかわらず、総人口に占める「比率(高齢化率)」はその後も上がり続ける。なぜなら、それ以上に「現役世代と子どもの減少スピード(分母の縮小)」が激しすぎるからだ。 高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)の推移予測は以下の通りである。 2026年(現在): 約 29.5 % (約3.4人に1人が高齢者) 2043年(人数ピーク): 約 36.1 % 2050年: 約 37.9 % (約2.6人に1人が高齢者) 2070年(比率ピーク): 約 38.7 % (約2.5人に1人が高齢者) 最新の推計では、2070年頃に「38.7%」あたりでようやく上昇が止まり、ほぼ横ばいのプラトー(高原状態)...

AI Column: What Lies Beneath the Idea of “Gender Equality”

Is “Gender Equality” Truly a Pure Ideal? For a long time, we have accepted the phrase “gender equality” as a symbol of human rights. Yet, if we look beneath the surface, a different landscape emerges. 1. The Misalignment of Fairness and Equality We must first note that the word “fairness” carries different meanings across academic disciplines: - In economics, equity refers to the justice of resource allocation and redistribution. - In sociology, fairness refers to the social order and mutual recognition that allow people to coexist with minimal friction. In this essay, “fairness” is used in the latter sense—as a hypothetical concept of social rationality and stable order. It differs from the modern rights-based notion of fairness. From the perspective of general theories of social order, societies have always sought a “low-energy state” that minimizes friction. Pre-modern societies did not ideologically proclaim “equality,” yet they often built stable orders grounded in this sense of f...