世襲
長い夏休みが終わり、朝晩は少し涼しくなり、秋の虫の音色が聞こえる。想は少し気の重い状態で家を出る。今日は夏休み明けの進路希望用紙を提出しなければならないからだ。夏休みの宿題は全部終わったので問題ないが、これだけは長い夏休みの間に自分の納得のいく進路が決められなかった。
アルケーアカデミー教室
思惟(シイ)ちゃん:想ちゃんは進路希望の用紙って書いたの?
想(ソウ)ちゃん:前も適当に大学って書いて出したけど、今回も具体的に納得のいく進路は書けなかった。
思惟ちゃん:そうなの?私は決めたわよ。獣医を目指す。
想ちゃん:そうか、お父さん動物病院の先生だものね。
思惟ちゃん:うん、夏休みに少し手伝っていたら、獣医になりたいって思ったの。お父さんと一緒に病院をやっていければいいなって。
想ちゃん:ふうん、そうかあ。
思惟ちゃん:あさひちゃん(クラスメイト)は看護師さんだって、タケルくん(クラスメイト)はお医者さんだって。
想ちゃん:あさひちゃんのお母さん、看護師さんだったよね。タケルのお父さんはお医者さんだったね。ん? 自由なのに、みんな親の職業に影響を受けてるの?
思惟ちゃん:ほんとね? 何かあるのかしら? AI先生、何か関係あるの?
AI先生:親の仕事を子が引き継ぐことを「世襲」と言います。日本における世襲について勉強してみましょう。
世襲の多い職業
1位 政治家:世襲割合は30%~40%。「三バン」(地盤・看板・鞄)による圧倒的選挙優位、政治資金団体の非課税承継
2位 医師:世襲割合は約25%。医院・患者基盤の承継、医学部進学の経済的ハードルの高さ
3位 農業・漁業:地域によって異なるが、30%~50%。土地・漁場・設備の承継が必須、地域共同体との結びつき
4位 伝統工芸職人:分野によって異なるが30%~50%。技術の長期修業と家内工業的継承、ブランド価値の維持
5位 中小企業経営者:世襲割合は30%~40%。経営ノウハウ・取引先・ブランドの承継、株式の相続
AI先生:政治家と医師は、制度的・経済的に世襲が特に有利な構造があり、国際的に見ても日本はこの2職種の世襲率が高い国です。農業・漁業・伝統工芸は、資産や技術が地域密着型で、外部参入が難しいため世襲率が高くなります。
想ちゃん:ちょっとびっくりな結果だよね。なんとなく農業・漁業とか中小企業とかは分かるんだけど、1位政治家、2位医師というのは意外だな。
思惟ちゃん:世界でも政治家と医師は世襲が多いの?
世界での職業の世襲割合
政治家
- 日本:30%~40%
- 米国:上院・下院とも5~10%
- 英国:約10%
- ドイツ・韓国:ごく少数
- イタリア:約10%
医師
- 日本:約25%
- 米国:15~20%
- 英国:約20%
- ドイツ・韓国:約40%
- イタリア:約30%
想ちゃん:へー、政治家は海外と比べて高いけど、医師に関しては海外も同じように親が医者だと子も医者なんだ。
思惟ちゃん:日本は政治家の世襲が多い国とかに特徴はあるの?
AI先生:はい。
世襲の多い国ランキング
1位 タイ:約40%
2位 フィリピン:約40%
3位 アイスランド:約40%
4位 日本:30%~40%
5位 インド:15~20%
6位 英国:約10%
7位 米国:5~10%
想ちゃん:4位の日本まで高くて、それ以降の順位から急激に下がるね。上位の国と下位の国で大きな違いがあるのかな。
AI先生:高い国と低い国で一番大きな違いは政党の役割です。上位国の共通点としては、選挙で当選するのに最も重要な地盤・看板・鞄が個人に帰属しているのに対し、下位国ではそれらは政党に帰属しています。
思惟ちゃん:じゃあ、日本のような世襲の多い国では政治家は個人事業主のようなもので、逆に少ない国では政治家は政党という会社組織に所属している感じ?
AI先生:はい、概ねそのような理解であっています。
想ちゃん:ふーん。じゃあ政党という言葉は同じだけど、全く別のものということ?
AI先生:はい。では次回は政党の本来の役割と米国と比較する形で勉強しましょう。
結論:
日本では政治家や医師など一部の職業で世襲率が特に高く、その背景には資産・地盤・制度の構造的な有利さがあり、政党の役割の違いが国ごとの世襲率の差を生んでいる、ということです。
あなたは世襲の仕組みを知って何を思いましたか?
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