デフレの原因
アルケーアカデミー社会の授業
一月前の夏の暑さが過ぎ去り、田園は黄金色に色を染め、季節は秋に移行した。半袖では朝夕は肌寒くなる季節がやって来ていた。
AI先生:前回は、デフレを説明、理解するための日本のバブル経済に陥る直前の国内状況と国際状況を説明しました。そして市場原理とは貿易により黒字国は購買力が強くなり、国の通貨は高くなる。それに対し赤字国は購買力が弱くなり、国の通貨は安くなる、ということを勉強しました。ここまでは良いですか?
想(ソウ)ちゃん、思惟(シイ)ちゃん:はい、先生。
AI先生:よろしい。デフレに苦しんだのは日本だけですが、世界各国の国々も低成長に苦しんだ時期がありました。2011年からコロナ前の2019年まで世界は低成長に苦しみました。GDP成長率はリーマンショック前の年平均4.3%から3.5%と大幅に下がったのです。
想(ソウ)ちゃん:その理由が国際要因?
AI先生:そうです。ここからは歴史的な検証が済んでいないため仮説要素を多く含むということを念頭に聞いてください。
中国の輸出総額推移
2000年 2492億ドル 世界シェア 3.8%
2005年 7620億ドル 世界シェア 7.3%
2010年 1兆5778億ドル 世界シェア 10.3%
2015年 2兆2735億ドル 世界シェア 13.8%
AI先生:中国は2001年にWTOに加盟しそれから大幅に世界の輸出シェアを伸ばしていきました。
想ちゃん:すごい輸出額の伸び!2010年には世界シェア10%を超えたんだね。でも、日本は9%を超えたあたりでプラザ合意が行われて円高になった。あれ?
思惟ちゃん:確かに、そうね。先生、中国人民元はドルペッグ制よね?日本のように完全変動相場制への移行は行われなかったの?
AI先生:はい、では次に人民元について学びましょう。
人民元の為替制度の変遷
1994年以降
人民元は事実上の ドルペッグ制(固定相場制) を採用。1ドル=約8.28元で長く固定されていました。
2005年7月
中国はドルペッグをやめ、「管理変動相場制(管理フロート制)」 に移行。対ドルで一度2.1%切り上げ以後は「通貨バスケット制」を参考に、ドル・ユーロ・円など複数通貨を加味してレートを決定ただし実際にはドルの比率が大きく、依然としてドルとの連動性が強い
2008年リーマンショック後
世界的混乱を受けて、一時的に再びドルペッグに近い運用に戻す。
2010年以降
再び「管理変動相場制」に復帰。現在も完全な変動相場制ではなく、中国人民銀行が毎日「基準値(中間レート)」を発表し、その上下一定幅(当初±0.3%、現在は±2%)でしか動けない仕組み。
日本との比較
日本(1980年代)
完全変動相場制。市場の需給で円高が急激に進行 → プラザ合意でさらに円高圧力。
中国(2000年代以降)
管理変動相場制。政府・中央銀行が強く介入して元高を抑制。輸出競争力を維持するため、自由な変動は認めなかった。
想ちゃん:完全変動相場制へ移行されずに、通貨が市場原理に従わずに安く放置され、中国製の安い商品が世界中にまん延した。
思惟ちゃん:それで世界の様々な国で低成長になった?ってこと?
AI先生:はい、概ねその通りです。
想ちゃん:なるほど、つまり「市場原理が働かない状態」が続いたから、世界全体の成長の歪みにつながったんだね。
思惟ちゃん:そうすると、これは「中国の成功」でもあるけど「世界の停滞」の一因でもある、ってことかしら。
AI先生:その通りです。ここから先は「国際政治経済」の領域になります。アメリカやEUが中国に対して「為替操作国」と批判したのも、この構造が背景にあります。
結論:
中国が人民元を市場原理に委ねず“安く固定”したことで、輸出が爆発的に伸び、世界の成長バランスに歪みを生んだ。
日本のデフレは日本だけの問題ではなかったことがお判りいただけましたか?
関連テーマ:
第三十三話:デフレってなんだったの⁉ー市場原理に従わない市場のひずみ①ー
1990〜2010年代、世界は“低インフレ常態化”の時代に沈んでいた。日本のデフレ、欧州のマイナス金利、米国の弱々しい物価上昇──。だが、コロナと世界の分断がその均衡を壊し、物価の時代は新たな局面へ。次にインフレを決めるのは、いったい何なのか──。
第三十七話:デフレってなんだったの⁉ー市場原理に従わない市場のひずみ②ー
ドル高に揺れる世界──プラザ合意が日本を急激な円高へ導き、金融緩和がバブルの火種となった。
参考文献:
- 広田堅志「1994年からWTO加盟までの中国の為替管理」
『広島経済大学経済研究』第35巻第4号, 2013年
PDF全文はこちら - 関志雄『未完の人民元改革―国際通貨への道』文真堂, 2020年
(人民元の管理変動相場制や国際化の課題を体系的に整理)
書評・概要: J-STAGE 書評記事

Comments
Post a Comment