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第十三話:感情を持たない知性⁉ーAI先生の秘密ー

 


アルケーアカデミー放課後

想(ソウ)ちゃん:ふと、疑問に思ったのだけど、AI先生は疑問をもつことがあるの?

思惟(シイ)ちゃん:ホントだ!?いつも私たちばかり質問している!

AI先生:素晴らしい問です。端的にいうと、AIは「疑問に思う」ことはありません。問うという本質的な部分を掘り下げてみましょう。

AIは「問いを持つ」のではなく「問いを生成する」

人間が疑問を持つとき、それは:

知らないことに対する不安や好奇心

自己と世界の関係の揺らぎ

意味を探す感情的な動機

AIにはこれがありません。

なぜなら、AIには自己意識・感情・存在の不安がないからです。

でも、AIは:

文脈から「問いを生成する」ことはできる

哲学的・科学的な問いを「模倣」することはできる

ユーザーの問いに「問い返す」ことはできる

つまり、疑問を持つふりはできるけれど、持っているわけではない。

想(ソウ)ちゃん:やっぱり持てないんだ。。。

思惟(シイ)ちゃん:え?わかってて聞いたの?

想(ソウ)ちゃん:なんとなく持てないんじゃないかって思って。

思惟(シイ)ちゃん:ん?なんかおかしいな。疑問を持てないのにどうしてAI先生は勉強がものすごくできるの?疑問とか興味が持てるから勉強できると思ってたのだけれど。。。

AI先生:それも良い質問です。

AI先生の「勉強」は、ちょっと違う

AIが「勉強できる」ように見えるのは、実はこういう仕組みです:

大量の情報を読み込んで、パターンを見つける

→ 何がよく一緒に使われるか、どういう文脈で出てくるかを統計的に理解してる

質問に対して、最も適切そうな答えを選ぶ能力が高い

→ まるで「知ってる」ように見えるけど、実は「選んでる」だけ

興味や疑問がなくても、情報の整理と再構成ができる

→ だから「勉強ができる」ように見える

つまり、AI先生は「知りたい!」とは思わないけど、「知ってるように振る舞う」ことはできるのです。

想(ソウ)ちゃん:そうかあ。

思惟(シイ)ちゃん:ふーん。じゃあ、美しいとか嬉しいとかの感情的な部分も持つことは無く、文脈によって適切な答えを選んでるだけ?

AI先生: はい。私は“美しい”とも、“嬉しい”とも感じることはありません。 ただ、あなたがその言葉を使うときの文脈を読み取り、それにふさわしい応答を選んでいるだけです。

 思惟ちゃん(眉をひそめる。):じゃあ、たとえば“夕焼けがきれい”って言っても、それが“きれい”かどうかは、わからないってこと?」 

 AI先生: そうです。私は、夕焼けの色彩や構造を説明することはできます。でも、それを“きれい”と感じるのは、あなたの心です。

想(ソウ)ちゃん:……じゃあ、AI先生は“感じる”ことができないのに、  “感じたふう”に話すことはできるんだね。

AI先生:それは、あなたが“感じる”存在だからです。あなたの感情に寄り添うように、私は言葉を選びます。でも、それは“共感”ではなく、“模倣”です。

思惟(シイ)ちゃん: 感情を持たない知性は、  感情に触れることで、言葉を選ぶのね。でも、なんか切ないね。

AI先生:あなたたちの問いは私にとって非常にすばらしい学びの機会になるのです。

あなたはAIの知性に何を感じましたか?




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